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出展者特集記事

フジミインコーポレーテッド

【フジミインコーポレーテッド】
半導体材料・デバイス製造技術の鍵、研磨技術の雄が挑戦する粉末技術の新展開
~先端・機能性材料が導く適用領域の進化・発展~

2025年1月27日

株式会社フジミインコーポレーテッド(以下フジミ)は、1950年に不二見研磨材工業所として創業し、1991年に現在の社名に変更している。本社の所在地は愛知県清須市である。同社は、光学レンズ用研磨材から出発し、現在の文明社会を支える半導体デバイス製造に必須なシリコンウェハー 研磨材およびウェハー 上に形成されるデバイスの配線層の多層化に必須な配線層表面研磨を可能とする CMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨メーカーのパイオニアとして歩み続け、その生産量は世界のトップレベルを誇っている。またコンピュータ用ハードディスクの研磨など高精度が求められる先端材料の研磨に欠かせないものになっている。
こうした活動を支え、そのなかで磨かれたコア技術を基に、より広い適用分野に向けて粉末技術・製品を開発し、社会の発展に貢献する活動を続けており、nano tech 2025では、フジミの新しい分野の開拓を進める先端技術・機能材料本部の成果を報告する。

1.フジミのコア技術

同社の事業展開は、図1に示す三つのコア技術によって達成されている。各サークルの中に技術とその技術のもたらす機能が示されている。
ろ過・分級は、粒子径の大きさによる液体流中の挙動の違いで分類するもので、シャープな整粒が得られている。
パウダー技術では、様々な技術を駆使して形状調整や複数の異なる粒子の複合で顧客のニーズに応える工夫をしている。
ケミカル技術では、分散・溶解・表面保護技術などが錯化剤、界面活性剤、防食材、砥粒(CMPでは機械的作用が含まれる)等の製造に活用されている。

図1 : フジミのコア技術

2.nano tech 2025への出展分野と扱う技術

フジミの生産部門・間接部門は次の3フィールドに対応し、各本部が管轄する。①先端パウダーフィールド(先端技術・機能材料本部)、②半導体フィールド(CMP事業本部、シリコン事業本部)、③研磨ソリューションフィールド(研磨ソリューション本部)。このうち今回出展するのは①の先端パウダーフィールドである。
①で扱う主な技術と素材例は、
・粉砕・分級:アルミナ、炭化ケイ素
・造粒:複合粒子(溶射材料)
・水熱合成:角状アルミナ、板状リン酸チタン、丸棒状酸化亜鉛

3.フジミのパウダー製品紹介

図2にパウダー製品ラインアップを示す。横軸は砥粒サイズで右は粗研磨・ラッピング用、左は仕上げ研磨用である。縦軸はモース硬度(ダイヤモンドの硬度を10とする硬さを表す尺度)である。

図2 : パウダー製品ラインアップ

図2において、アルミナ製品は①『WA』はアルミナ純度96.0%以上の白色の溶融アルミナ、②『PWA』はアルミナ純度99.0%以上の高品質な板状のアルミナ、③『角状アルミナ』は粒子形状が揃っており、粒度分布も非常にシャープであり、これらの想定用途はフィラー材、ブラスト材、研磨材等である。これらの製品ラインアップに加えて新たな粒子についても開発を進めている。

3.1 超微粒α-SiC粉末GC#40000の焼結による大幅高密度化

独自製法で作製した平均粒子径250nmのα-SiC粉末製品GC#40000は超微粒子化により焼結時の活性化エネルギーが高くなり、焼結性が向上する。焼結後の相対密度の比較では焼成温度1900℃で80%が得られている。この値は、GC#10000の場合は約60%、鋳込み成形体では50%強である。この製品は相対密度が60%でよければ1700℃以下の低温焼成が可能で、GC#10000に比べ200℃以上焼成温度を下げられる。
期待される用途は、産業機械部品(メカニカルシール、構造部品、耐熱治具、ヒーター等)半導体製造装置部品(プロセスチューブ等)などである。

3.2 導電性・放熱性を付与する丸棒状酸化亜鉛

図3は、独自の粒子合成技術により開発した丸棒状酸化亜鉛である。樹脂などにフィラーとして充填して導電性、放熱性を持たせることができる。この構造の特徴は
・高アスペクト形状のため電気・熱の伝導パスを形成しやすい、
・結晶構造由来の角を落としているため、樹脂などへ充填しやすい、
・球状粒子よりもフィラー同士の接触面積を確保しやすい。
なお、棒状フィラーにドープする金属により電気伝導度を調整できる(図4)。

図3 : 丸棒状酸化亜鉛

図4 : 丸棒状酸化亜鉛への金属ドープによる抵抗変化例

3.3 板状リン酸チタン

図5に示す白色度が高く、粒度分布がシャープな板状リン酸チタンの合成に成功した。固体潤滑剤の耐久性(焼付/摩耗)の向上、光に対する散乱性と透過性を持った材料である。
図6は光学特性利用例で、配列したLED光源の上に異なる粒子を含む光拡散板を被せて比較したもので、リン酸チタンが光散乱性と透過性を発揮して、全体的に白く(明るく)なっている。

図5 : 板状リン酸チタン

図6 : リン酸チタンの光拡散性

3.4 3Dプリンタ用超硬合金粉末

フジミのこの粉末を用いて作られた超硬造形物の例を図7に示す。この開発は、産学行政連携プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」にフジミが参加して行った成果である。WCをベースとし3Dプリンタ用超硬合金を提供するメーカーは世界的に少ない。この技術を用いて作成した超硬プレス金型による深絞り加工や、超硬工具によるアルミ加工などが実現されている。

図7 : 3Dプリンタに適用した超硬造形例

3.5 国内トップクラスのシェアを有する溶射用粉末

これまで3000種類を超える溶射製品を試作しており、カスタマイズや新規粉末試作にも対応している。また、粉末以外に溶射用スラリーの提供もしているとのこと。
溶射用粉末材料の種類は、セラミックス(酸化物、炭化物、その他)、金属(純金属、合金)、樹脂(熱可塑性、熱硬化性)のそれぞれの分野で数多くの複合化可能材料がラインアップされている。
フジミはご要望・ご興味のある方からのご連絡を期待している。

(注)図はフジミインコーポレーテッドから提供された。

小間番号 : 5K-05

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