出展者特集記事
2024年1月16日
日揮触媒化成株式会社は、独自の超微粒子技術を核とした、触媒、環境・新エネルギー及びファインの3分野で事業展開する無機機能材料モノづくりのメーカーである。 日揮ホールディングス株式会社のグループ会社であり、1958年設立の触媒化成工業株式会社と1952年設立の日揮化学株式会社が2008年に合併して生まれた。 nano tech 2024(総称:ナノテク展)への出展は初めてのため、まずは日揮触媒化成という会社、およびその無機機能材料技術を知っていただきたいと考えている。 今回、ファイン分野から表1に示す6件を出品しており、項番2と5の2件が開発中、残りの4件が実用化済みである。日揮触媒化成は、オンリーワン製品を目指しており、①ナノ粒子調製技術、②ナノ粒子配列制御技術、③ナノ細孔制御技術、④マクロ構造制御技術の4つの基盤技術を基本に開発を進めている。 このナノレベルの無機機能材料は、用いる材質、粒子形状、粒度分布等によって、各種各様の機能を発現できるため、使用目的に応じて材料設計を行っている。
表1 : 展示品概要
抗菌材のAg/SiO2、消臭剤のZn/TiO2は、いずれも5~25nmと微粒かつ粒子径が揃っており、表面積が大きいため少量でも機能を発揮し易く、透明性も有している。そのため、タッチパネルや繊維等への抗菌性・消臭性の付与が可能となる。
20~60%の空孔を有するミクロンサイズの中空(バルーン状)シリカ粉末である。無孔質のシリカシェル内部に空間を有するため、低誘電正接、かつ低誘電率のフィラーとなる。現在、電子材料用途の可能性を半導体業界にアピール中である。図1にその形状と空孔率の増大に伴う誘電率変化を示している。
化粧品分野では感触改良材料として球状シリカが利用されているが、バルーン化によって従来にないふんわりとした良い感触が得られている。さらにソフトフォーカス効果が加わることで、表情をより綺麗に見せるというメリットを有し、実用化されている。
図1: バルーンシリカの形状と空孔率による誘電率変化
20nm~サブµⅿで制御された粒子サイズを有している。 1990年代後半~2000年代初頭、液晶ディスプレイ(LCD)の台頭に合わせて、低反射率膜用途に開発を開始した。50nⅿサイズの粒子塗膜は、反射率を1.0%以下に低下させることができ(図2)、 低屈折率材料として60型以上の大型ディスプレイの反射防止フィルム用に採用され、業界標準となっている。
図2: 中空シリカ粒子像と反射防止用フィルムの反射率
10nⅿサイズで、高透明、高屈折率を有するため、眼鏡用レンズの高屈折率化材料として用いられている。しかし、TiO2は光触媒活性が高いため、耐候性に問題が生じるケースがある。今回開発したTiO2は光触媒活性を抑制しても、高屈折率と高耐候性を両立する(図3)ため、眼鏡のみならず、従来の高屈折率材料であるZrO2を代替する可能性もあると考えている。
図3: 高耐候性TiO2ゾルの耐候性試験結果
高誘電率材料として知られるチタン酸バリウム(BaTiO3:BTOと略す)であり、世界最小のシングルナノサイズかつ、高分散、高結晶性である。セラミックス分野では少量の添加で、高い焼結抑制効果が期待できることから、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の小型化、薄型化に有効ではないかと考えている。 また、高屈折率材料として、光学用途での活用方法もあると期待している。
基盤技術であるナノ粒子調製技術を用い、様々な粒子径・粒度分布・形状の製品を取りそろえ、多様な機能を付与できる事から、幅広い分野で使用されている。その代表例がハードディスク用の研磨剤であり、粒子径を5nmから300nⅿまで細かく作り分けることが可能である(図4)。
図4: 目で見るシリカゾルの粒子径制御技術
今回紹介している6件以外にも、図5の周期表で赤く示した、24種類の広範囲な元素群をコロイド化、ナノ粒子化して、分散する技術も有しており、製品化に向けて、新しい材料開発も進めている。
また既存分野に加えて、ライフサイエンス系、センサー、5G-6G移動通信関係への展開も視野に入れている。
ご来場の皆様方には、是非とも日揮触媒化成が持つ無機機能材料の専門技術とそのオンリーワン製品をご覧いただければと考えている。
図5: 日揮触媒化成がコロイド化、ナノ粒子化、分散化が可能な24種の元素群
(注)図は日揮触媒化成から提供された。
小間番号 : 4V-26